2014-10-25

●生命誕生:No. 5013 2014.10.25

中沢弘基著「生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像」
(ISBN978-4-06-288262-0 C0240)
を読んだ。
面白いシナリオである。
そして地球史から得られた知見を忠実に利用している。
以前から私が感じていた
生命の起源がコモノートひとつとして追求する系統解析への疑問、
海水中で複雑な化学反応を進める困難さ、
その反応でできた複雑な化学物質が保存され
さらなる反応へと進む不思議さ、
地質学的証拠と生命誕生のシナリオの違和感
などなどが一気に解消されるような気がした。
ただし、このシナリオにも少々違和感を感じるところがもある。
エントリピー代謝はいいのだが、
地球史とエントロピーの減少の過程がどうもピンと来ない。
あと付加体での熱水アリきの議論、
冷泉の噴出が多く、
有機合成には適している気がする。
しかし、全体として面白い発想であり
実験的に検証しようという姿勢はすばらしい。