2011-04-30

●工学部ヒラノ教授:No. 3697 2011.04.30

今野浩著「工学部ヒラノ教授」
(ISBN978-4-10-314762-6 C095)
を読んだ。
面白い。
一気に読みきった。
私は理学部であったが、
似た環境を経験している。
分野による違いだろうか、
少々の違いはある。
でも、膝を打ちたくなるような、
耳が痛いような内容もある。
実名がいっぱい出てくる。
危なそうなところは、
イニシャルになっているが、
同じ分野の人にはすぐにわかるだろう。
よくこんなモノが書けたものだ。
少々心配をしてしまう。
でも著者の略歴をみると
どうも似たような著作もあるようだ。
気になってきた。

●論理病をなおす!:No. 3696 2011.04.30

香西秀信著「論理病をなおす!」
(ISBN978-4-480-06516-2 C0295)
を読んだ。
レトリック、詭弁についての内容である。
詭弁の使い方をいろいろなパターンを紹介してあります。
しかし、詭弁と正論の境界はあいまいで、
それを見極めるのは難しい。
その境界を自由にあやるれるの、
弁の達人となるのだろう。
私には無理だが。

2011-04-28

●ゼミ生と飲み会:No. 3695 2011.04.28

つくし。江別市文京台

今朝は、雨である。
風もなく、暖かめの雨である。
ここ数日の雨で
道路の雪が完全に溶けた。
除雪でたまった雪がまだ少し残っている。
今年は、雪解けが遅いようだ。

明日からゴールデンウィークだ。
今日の夕方は4年生のゼミ生と飲み会だ。
4月からの付き合いだが、
就職、実習、卒業研究で
今後、密接に付き合うことになる。
現在も2名の推薦書を書いているが
本人からいろいろな情報を得なければ書けない。
個人の情報を深く知ることになる。
仕方がないことだが、
学生の個人情報や人間性に深く立ち入ることになる。
私と相性が合わないと、
学生にとっては苦痛になるだろう。
しかし、これは仕方がない。
実習校への事前学習にいく学生を除いて
飲み会には全員出席する予定だ。
教員からはがっぽり会費を取るそうだ。
まあ、いいでしょう。
心が通いあえば安いものだ。

EarthEssay 5_93 第一世代:最初の星4

EarthEssay
5_93 第一世代:最初の星4
を発行しました。

最初の星は、どのような星だったのでしょうか。
今回の観察でみえたのは銀河ですから、
その銀河の中の星を識別することはできません。
でも、どんな星であったのかは、
ある程度推定できます。
第一世代の星を探っていきましょう。

2011-04-27

●冷や汗:No. 3694 2011.04.27

芽。江別市文京台

今朝は、霧がかかってた。
夜半の雨も上がって、
晴れ間も見えてきた。
風もなく穏やかな朝である。

朝、時々会う女学生が、
長男の同級生だと思って、
挨拶しようと立ち止まった。
近づくとどうも顔つきが違うような
気がしてきた。
目を合わせてたちどまったので、
失礼になるといけないので、
自己紹介をした。
長男の名前を出したのだが、
気づかないような風だったので、
人違いのわびをいった。
少しして彼女は、長男と次男の名前を思い出した。
彼女は、長男の同級生の姉であった。
それで似ていたのだ。
彼女も同じ小学校の上級生でもあったので、
下級生の名前を覚えていたようだ。
結果として人違いであったが、
全くの人違いでもなかったようだ。
朝から冷や汗をかいた。

2011-04-26

●自力で:No. 3693 2011.04.26

芽。江別市文京台

今朝は、雲がかかっていた、
晴れ間が覗きだした。
天気は回復してきたようだ。

4年生は教育実習が連休明けからはじまる。
また、大学推薦も始まる。
学内推薦の選考は終わり、
書類作成が始まった。
いよいよ教員採用に向けて
4年生は突入してきた。
私は、彼らの求めに応じて
誠意をもって対応するしかない。
実習も選考も試験も、彼ら自身の力によって
勝ち取るものである。
そして、なにより先生になってからは、
彼ら自身で新たな目標を見つけて
自力で進むことになる。
自分自身がすべてを決めていくことになる。
私は、健闘を祈るしかない。

2011-04-25

●蓄積:No. 3692 2011.04.25

つつじ。江別市文京台

今朝は曇であったが、
歩いていると小雨がぱらついてきた。

講義も3巡目になり、
だいぶ落ち着いてきた。
新入生もだいぶ様子が
分かってきたのではないだろうか。
ただ、背伸びや無理をしてる
学生は一杯いるだろう。
それが自分の体力、精神力を
越えないことを祈っている。
そしてゴールデンウィークになれば、
少し息を継げるから、
この時期を耐え抜けば、
ずっと成長できるのではないだろうか。
この背伸びが自分自身の蓄積になればと思う。
親友生にとっては、そんな時期でもある。

今シーズンの講義準備は
新しい内容に一新しているので
なかなか大変だ。
新しい授業をつくるために、
四苦八苦するのだが、
それも新しいことを考えながらだから、
苦しみながらも楽しんでいくことになる。
そんなことも自分自身への蓄積になる。

2011-04-24

●自分への戒め:No. 3691 2011.04.24

今朝も雨である。
昨日来、肌寒い日が続いている。
一階のストーブを久しぶりに付けて
部屋を暖める。
すると上の階もあたたまる。

今日はプールにいく予定。
次男と行く予定だが、
長男がクラブの練習試合が中止になったので、
一緒にプールに誘い出す予定だ。
日曜日はグータラするといつもいう。
しかし、そろそろ長男のグータラ生活に
終止符をうとう。
頑張れば、休息さえしっかりとれば、
体力的には回復できるはずだ。
適当に動くことも急速になるはず。
これは、長男だけでなく、
自分への戒めでもある。

2011-04-23

●不足感を払拭:No. 3690 2011.04.23

今朝は雨である。
自宅にいる。

土日は自宅で過ごすということが、
こちらにもどってきてからは、
当たり前の生活になってきた。
これは、家族がいるから
当たり前の生活なのかもしれないが、
特別仕事もせずに自宅にいるのは、
なんとなく後ろめたい気もする。
愛媛では、土日も関係ない
淡々とした日々を過ごしていたからだろう。
その場その場で生活の様式は変わるのはずだが、
後ろめたさを感じるのは、
どこか手抜きしているような、
もっとできるのではないか、
努力不足を感じているからではないだろうか。
自分がベストと思っている生き方をするには、
それぞれの場で不足感を払拭する
努力が必要なのだろうな。

●ダンゴムシに心はあるのか:No. 3689 2011.04.23

森山徹著「ダンゴムシに心はあるのか」
(ISBN978-4-569-79655-0 C0245)
を読んだ。
大脳のない動物、ダンゴムシを使って、
その行動から知能ではなく、
「心」の有無や機能を調べる実験を
している研究者の話である。
おもしろい。
研究の面白さ、その背景の苦労が伝わる。
そして実験結果をどう考えるかも、
重要な作業であることがわかる。
面白いが、どうしても、
それは人間側の考えであって、
本当に客観的にそれが「心」の存在や、
動きを証明していないのではないか
という疑問がのこる。
重要であるが故に、その点が気になる。

2011-04-22

●変わったね:No. 3688 2011.04.22

蕾。江別市文京台

朝、小雨が降っていた。
風も今日は冷たい。

昨夜は学部の歓迎会。
いつものホテルの宴会場で
酒宴があった。
新人の歓迎である。
私は、みんなから
「変わったね」とか、
「いい1年を過ごしたようですね」
とか、いわれた。
たしかに、自分でもそう感じる。
力を抜いて生きること。
出来ること以上には為せない。
相手(学生)のことを考えるとき、
自分の精神状態がいいほうがいい。
こんな当たり前のことをすることに
専念することにした。
それが、周りからは大きな変化にみえるようだ。
学生にいい対処ができるかどうかが、
最終的な評価になる。
私は、マネージメントには向かない。
研究と教育に専念したいものだ。

2011-04-21

●そのうちに:No. 3687 2011.04.21

蕾。江別市文京台

朝、小雨が降っていた。
時々ちらつく程度だったので、
傘もいらなかった。
風は冷たいが、
春のものである。

今日は、午前の講義、
午後の2つの会議のあと
夕方には、学部の歓迎会がある。
出席する予定。
久しぶりに同僚の教員と飲むことになる。
じっくり話せる機会を持てる。
楽しみでもある。

研究室の収納スペースがいっぱいである。
スペースをつくるために、
古い資料を廃棄している。
まだ、スペースが足りないので、
思いついたとき廃棄をする。
でも、思いついたとき片手間でするので、
部分部分で片付けることになる。
とりあえずを続けていけば、
やがては片付くであろう考えている。
ただ、大量の個人情報や会議資料など
シュレッダーにかけなければならない資料が
台車一台分ある。
これも、一気にやりたいが、
処理場所が遠いので
なかなか踏み切れない。
また、別刷りの整理もしたいがまだだ。
いずれも、そのうちに。

EarthEssay 5_92 遠ざかる光:最初の星3

EarthEssay
5_92 遠ざかる光:最初の星3
を発行しました。

光の速度は、
どんなところ、時代でも、
不変(一定)です。
しかし、光の波長や周波数は条件によって変わります。
その変化を調べると、
遠ざかる天体のスピードや時代も分かってきます。
ただし、あまりにかすかな光で、見えない輝きです。
それを感知するには、
高度な装置が必要になります。

2011-04-20

●自助努力:No. 3686 2011.04.20

蕾。江別市文京台

朝、雲がかかっていたが、
晴れ間が広がってきた。
ここしばらく天気が悪かったので、
ほっと一息できる。

講義の準備、日々の定型的仕事、校務で、
ほぼ一日が過ぎてしまう。
そして夜も寝床に入ると
すぐに寝こんでしまう。
今のところ時間的にも体力的にも
一杯いっぱいなのだろう。
まだ、スキマ時間の利用や、
時間のやりくりをする余裕が生まれない。
この状態が続くようなら、
研究も進まなくなり、
ストレスもたまるだろう。
それからいつ抜け出すかは、
自分の努力にかかっているのだろうな。
結局は自分の身の振り方になるのだ。

2011-04-19

●兼ね合いが難しい:No. 3685 2011.04.19

蕾。江別市文京台

朝、前線が東の空にかかっていた。
東の山際だけが、晴れ間があり、
朝日が少しのぞいた。
その後、太陽は前線に隠れる。
ただ、前線は動くので、
今も時々晴れ間がのぞく。

愛媛から戻ってきた、
3週間近くたった。
懐かしさがあるが、
もうだいぶ昔に思える。
時の流れとはこのようなものか。
戻ってすぐは、北海道の風物すべてが
新鮮に感じた。
それが、2週間もたつと、
陳腐化する。
これも、人間の馴れのなせる技だ。
馴れも必要だが、
馴れないことも重要だ。
その兼ね合いが難しい。

●女子中学生の小さな大発見:No. 3684 2011.04.19

清邦彦編著「女子中学生の小さな大発見」
(ISBN4-10-131731-3 C0140)
を読んだ。
なかなかユニークな本だ。
女子中学生が身近なところで
科学に興味を持ち、
試してみた、見てみたなど
短く報告したものだ。
そして重要なことは、
その発見に、コメントしていないことである。
間違い、誤解が一杯混じっている。
でも、それもコメントなく示されていれている。
これではこれいいいのかもしれない。

2011-04-18

●研究時間:No. 3683 2011.04.15

牧舎。江別市文京台

今朝は、曇で風が強く
肌寒い日であった。
風と小雨の降る中を歩いてきた。

今週から大学の講義も
二回り目にはいる。
新入生も精神的には、
だいぶ落ち着いてきたろう。
私も落ち着きを感じる。
ただ、講義も本格的に始まりだすので、
その準備も本格的にはじまる。
4月は始動の月である。

定常的な日々の中で、
研究のために頭を使うことは
なかなか大変なことであることがわかる。
学生が研究をすれば、
それではそれで研究は進むのだろうが、
私は、ひとりで研究をすることを選んだ。
その道を進むしかないだ。

2011-04-17

●嵐と雪景色:No. 3682 2011.04.17

昨夜は、嵐である。
強い風のために建物が激しく揺れた。
夜中になんども目が覚めた。

朝起きたら、一面真っ白な雪景色だ。
車のタイヤを夏物に交換する話を家内としていたが、
まだしていなかった。
よかった。
今日は、小学校の参観日で
朝から家内が車を使う予定である。
気温はそれほど低くないから
すぐに溶けそうだが、
朝は冬タイヤでないと滑りそうだ。

昨日は長男の学校の関係で
なんども出歩いたが、
今日は、自宅でじっとしているつもりだ。

2011-04-16

●時間はなぜ取り戻せないのか:No. 3681 2011.04.16

橋元淳一郎著「時間はなぜ取り戻せないのか」
(ISBN978-4-569-77564-7 C0242)
を読んだ。
橋元氏の時間に関する著作は
「時間はどこでうまれるのか」
を読んで興味をもっていた。
そして、さらに進んだ考察が
この本でなされている。
興味を持っているテーマである。
しかし、手ごわいテーもである。
生命の主体的意思(主観)が時間の矢を感じる
という主張である。
また、最後に人間原理の拡大して
「主体的生命原理」を提唱している。
おもしろが、わかるような
わからないような論点でもある。
でも、どこか、魅力のある主張である。
別の近著もあるらしい。
そちらも読んでみよう。

2011-04-15

●多様性:No. 3680 2011.04.15

蕾。江別市文京台

今朝は、曇りだ。
気温はそれほど低くないが、
風が強く、肌寒かった。

授業が始まって一週間がたつ。
今日もひとつゼミがあり、
あと校務での打ち合わせもある。
毎日何かしら追われるように
仕事をしている。
まあ、これが日常である。

一生懸命にやっていることが、
全体から見ると、
ピント外れなことや、
ヘタをするとブレーキやマイナス
になることもある。
そんな行為や要因、要員を
組織はどう対処するのか。
組織としては、是正するために
それなりの労力を払うことになる。
でも、そんなピンぽけが
組織にとって、本当にマイナスだろうか。
すべてがプラス要因だけの組織とは、
本当に健全だろうか。
長い目で見れば、
マイナスをも含む多様性こそが、
健全な組織ではないか。
できれば、そんな存在になりたいのだが、
それは不穏当な発言だろうか。

●ある閉ざされた雪の山荘で:No. 3679 2011.04.15

東野圭吾著「ある閉ざされた雪の山荘で」
(ISBN4-06-181607-1)
を読んだ。
通常のミステリーだ。
ただ、雪に閉ざされた山荘で
密室系の設定を
舞台の練習としてやる、
という凝ってものである。
少々、複雑な設定になっている。
それになりに、面白いのだが、
オチが当たり前すぎて
東野氏の作品としては、
見劣りがする。

76 周木:思惑外の凝灰岩

 西予市の滞在の終に、行き残していていた地域をいくつか巡りました。三瓶の周木もそのひとつでした。二度目の訪問でしたが、今度はひとりでじっくり眺めましまた。そして、その地質学的背景に思いを馳せました。

 愛媛県西予市三瓶町の周木(しゅうき)と長早(ながはや)の間に、須崎観音があります。地元の人以外には、あまり知られていないところですが、なかなか景色がいいところです。
 須崎観音は周木の少し南にある半島の先端にあります。幹線道路から入って半島に向かいます。道は狭いですが、舗装されたしっかりしたルートがあります。観音の入口付近には、駐車場やトイレも完備されています。海岸に降りれば、家族連れでも一日磯遊びができそうな、なかなかいいところです。
 春まだ浅い3月に、この地を訪れました。
 須崎観音の駐車場の近くに、海岸に降りる細い道があります。少々坂が急で階段が長いですが、コンクリートでできた、しっかりとした道です。入り口さえわかれば、あとは、迷うことはありません。その道を降りると、海岸の防波堤沿いに歩くことができます。
 防波堤の一方は海で、もう一方は崖になっています。その崖には、地層が連なっています。この地層を見るのが、今回の目的でした。
 以前に一度、観察会で神奈川県と城川町の子どもたちを連れてきたことがあります。ですから周木のこの海岸は、二度目の訪問となります。
 子どもたちは、磯が大好きです。珍しい磯の生物たちがいろいろ見ることができます。本当は、地層を観てもらうことが目的で連れてきたのですが、やはり海や磯の魅力に地層は負けるようです。まあ、子どもたちが自然の中で遊ぶのはいいことです。
 私には、この切り立った地層の魅力で、ここに再訪したのです。最初に、この地層を見たとき、層状チャートではないかと思いました。チャートも酸性凝灰岩も珪酸(SiO2)を主成分としており、いずれも層状に堆積することもあり、似たような見かけや形状(産状といいます)になる岩石でもあります。まあ、慎重に観察したり、顕微鏡で調べれば、判別はできますが。
 もう少し近寄ってみていくと、緻密な岩石だけでなく、礫岩や粗粒の砂岩などもあります。砕屑性堆積岩の性質がみえてきます。主には、酸性の火山灰(白っぽい透明感のある凝灰岩になります)を含む堆積岩からなり、中には火山岩の角礫を含む地層や、チャートにように見える細粒の凝灰岩、あるいは普通の砕屑性堆積岩に見えるところあります。
 層状チャートという先入観をもったのは、層状チャートと砕屑性堆積岩の組み合わせは、日本列島ではよくあるものだからです。もしそうなら、堆積構造に特徴的なものがあったり、特徴的な岩石も伴うはずです。よく伴われる岩石とは、石灰岩、玄武岩溶岩やその破砕岩、ありは赤色頁岩などが、ブロック状にも近くにあってもいいはずです。これらは、沈み込み帯で形成される固有の岩石群と構造で、付加体とよばれています。このような付加体が、周辺には広く分布しています。秩父帯(秩父累帯とも呼ばれています)に属する地層で、特有の構造をもっています。
 ですから、チャートと砕屑性堆積岩があったとしても不思議ではなく、周辺の関係からそのような付加体であると考えたくなります。問題は、付加体の構造をもっているかどうかです。層状チャートにみえる地層も砕屑性堆積岩も、あまりにも整然と成層しています。この整然さが、少々不思議です。なぜなら両者の生成環境が全く違っているからです。
 付加体を構成しているチャートは、深海底に降り積もった微生物の遺骸が固まってできたものです。一方、砕屑性堆積岩は、陸から運ばれてきた土砂が沈み込み帯(海溝)でたまったものが起源です。それがプレート移動によって沈み込み帯で混在することになります。ですから、両者がぴったりと接していても、その境界には断層があり、年代の違い(数百万年や数千万年のギャップ)もあります。いくつかの境界で、たまたまぴったりとくっつくことがあっても、いたるところで、きれいにくっつくことはありません。でも、ここの地層では整然の地層が連続して積み重なっています。この連なり方は、もともとの堆積構造に見えます。
 地層をさらによくみると、砕屑性堆積岩には、構成粒子が大きくよくみえる礫岩もあります。礫には、火山岩の破片ばかりからできているものもあります。砂岩にも火山岩の破片を多数含むものもあります。さまざまな粒子サイズの火山性堆積岩があります。すべてではありませんが、ここの地層は火山岩起源の砕屑岩を主としていることは確かです。火山岩の粒子の細かいものは凝灰岩となっているはずです。そんな目で見直すと、やはり層状チャートにみえた岩石も、チャートではなく凝灰岩のようです。
 周木のこの地層はすでに詳しく調べられており、秩父帯のものとは明らかに違っていることがわかっています。
 まず、火山岩の性質が、違います。秩父帯のものは、海底の中央海嶺や、海山をつくる火山で形成された玄武岩類です。それに対して周木の凝灰岩は、酸性(デイサイトや流紋岩などの珪酸の多いマグマからできた)で、列島や大陸で活動する火山に由来するものです。軽石の礫も見つかっています。軽石とは、酸性の火山噴火でできる白っぽい穴の多数あいた岩石です。以上のことから、両者の火山岩の起源やでき方の違いがわかります。
 秩父帯の玄武岩は、海洋域で形成され、周木の凝灰岩は、大陸もしくは列島の火山活動でできたことになり、形成環境が明らかに違ってています。また、秩父帯の火山岩は、遠くの海でできた岩石が、沈み込み帯で陸から由来する堆積岩と堆積作用ではなく、プレートの移動に伴って混じった(構造的やテクトニックという)ことになります。このような別の場所から由来した岩石を、異地性と呼びます。一方、周木の火山は、大陸や列島で活動していた火山から直接由来してたまったものになりまします。このようなでき方を現地性とよびます。
 次に、時代が違うことが分かっています。周木の地層の中から化石が見つかっています。礫岩中の石灰岩の礫からサンゴ化石が見つかり、下部デボン紀(約4億年前)のものであることがわかっています。秩父帯の岩石では、せいぜい石炭紀(古くても3億5000万年前)が最古で、多くは中生代に形成されています。明らかに形成年代が違っています。
 このような古い現地性の岩石は、近くにはなく、同じ西予市ですが、少し離れた野村町や城川町にある黒瀬川構造帯の堆積岩に似ています。城川などの黒瀬川構造帯では、岡成層群と呼ばれ、同じ時代、似た岩石構成になっています。周木の地層は、離れていますが、同じ来歴をもった黒瀬川構造帯のメンバーであると考えられます。
 さらに、周木の近くには、トーナル岩や斑レイ岩があります。トーナル岩は、圧力によって潰されて(圧砕といいます)いますが、花崗岩の仲間です。この花崗岩や斑レイ岩は年代は求められていませんが、黒瀬川構造帯の三滝火成岩類(約4億5000万年前の花崗岩類)に対応しています。これらの岩石類の存在も、周木に黒瀬川構造帯があることを支持します。
 そうなると、野村町までで、一旦途切れていた黒瀬川構造帯の分布が、豊後水道に消えなんとする半島の先端に、ほんの少しだけ、顔を出していることになります。たまたまここに残っていだけでしょうか。それとも、そこに深い理由があるのでしょうか。それは、まだ不明です。そんな謎に地質学者たちは挑んでいます。
 磯に切り立った崖に連なる地層を眺め、不思議な地質学的背景に思いを馳せていました。春の周木の地層の崖を眺めが、西予市では最後の調査になりました。

・あるがまま・
最初、周木のこの地層をみたとき、
凝灰岩だと知識で知っていたのですが、
層状チャートではないかと思いました。
よく見て、通常の層状チャートではないことを悟り、
その変化したものではないかと思いました。
でも、よく見て、よくよく考えると、
層状チャートではないという結論になります。
そういう先入観があったのは、
上で述べたような理由もあったのですが、
単調な地層が連続するところを
調べたいと考えてい時期でもありました。
周木の連続露頭を一目見たとき、
その候補になると考えました。
でも、人間の思惑など、自然は配慮しません。
あるがままが自然です。
あるがままの自然に対しては、
先入観を持たず、
あるがままを受け入れる心が必要なのでしょう。
そんなことも学びました。

・力を抜いて・
西予市から北海道にもどってきて
半月がたちました。
大学の新学期にあるいろいろな行事を
つぎつぎとこなしているうちに
あっという間に日々が過ぎていきます。
今回の1年間の研究休暇によって、
脱力することを学びました。
授業やゼミをするとき、
力まずに等身大の自分で行くことにしました。
そして、それは手抜きではなく、
自分の身の丈にあった、
力相応の態度で望むことにしました。
背伸びもせず、出し惜しみのせず、
という感じです。
どれくらい続くかわかりません。
まだ新学期は始まったんばかりです。
新入生より先に力尽きることはできません。
のんびりと、でもそれなりの力で、
急がずに、でも止まることなく、
気楽に、でも誠意を持って、
そんなやり方をしています。

GeoEssay 76 周木:思惑外の凝灰岩

GeoEssay
76 周木:思惑外の凝灰岩
を発行しました。

西予市の滞在の終りに、
行き残していていた地域を
いくつか巡りました。
三瓶の周木もそのひとつでした。
二度目の訪問でしたが、
今度はひとりでじっくり眺めましまた。
そして、その地質学的背景に思いを馳せました。

2011-04-14

●脱力系で:No. 3669 2011.04.14

蕾。江別市文京台

早朝は、かすみがかかっているが、
晴れている。
風がなく暖かい日である。
春めいてきた。

毎日、仕事に追い回されている。
自宅に帰るとぐったりする。
新しい日々の生活に
まだ完全に適応しきっていないのだろう。
この不適応がずっと続かないことを願う。

愛媛では、人が少ない、
いても高齢者が多い環境であった。
大学では、人が多く、
二十歳前後の若者が大半である。
この違いは大きな環境変化とえいる。
それを今迎えている。
いい面、悪い面の両方がある。
でも、今は肩に力を入れずに、
いろいろな講義に臨むことを心がけている。
学生がそれに応じてくれればいいのだが。

EarthEssay 5_91 見えない輝き:最初の星2

EarthEssay
5_91 見えない輝き:最初の星2
を発行しました。

「宇宙の一番星」は、
どのようなところで、
どのようにして発見されたのでしょうか。
以前から観測されてきた領域に、
新しい観測装置が投入されたことによって、
発見されました。
そのあたりの事情を、紹介していきましょう。

2011-04-13

●弛緩と緊張:No. 3668 2011.04.13

残雪。江別市文京台

早朝、朝日が見えたが
その後曇ってきて、小雨が降りだした。
暖かいが暗い日である。

昨日3年生と4年生のゼミがあり、
対面した。
リラックスして対処することにした。
ただ、それぞれやるべきノルマがあるので、
それを如何に達成するかが重要である。
弛緩と緊張。
その兼ね合いが難しい。
まあ、不要なときは脱力をして
必要なときに力を発揮する必要がある。
私にとっても重要な試練となるかも。

2011-04-12

●気の向くままに:No. 3667 2011.04.12

氷。江別市文京台

今朝は快晴だ。
北海道らしい青空だ。
冷え込みはあったが、
清々しい好天である。

やっと本を読み終わった。
なかなか本が読めない。
まあ、仕方がない。
なぜなら読む時間が
明らかに少ないからである。
家族との対話の時間を使うためでもある。
そうなると
読む本も専門に関わるものや
専門の周辺の新書などを読むことになる。
先々週、図書館で本を借りたので、
その本がまだ読みきれない。
これからは、専門書や新書へ
移行していくのだろうか。
まあ、無理をせず、淡々と
気の向くままにいこう。

●T.R.Y.:No. 3664 2011.04.12

井上尚登著「T.R.Y.」
(ISBN4-04-873179-3 C0093)
を読んだ。
江戸川乱歩賞受賞作である。
なかなか面白かった。
明治後半の時代背景に、
上海と日本を舞台に
詐欺を働く話である。
最後にはお約束のどんでん返しがある。
しかし、なかなか面白い話であった。

2011-04-11

●脆弱性:No. 3663 2011.04.11

雫。江別市文京台

今朝は、昨夜の雨で道路が濡れていた。
朝曇っていたが、
自宅をでるころには晴れていた。
今日は暖かい。
春めいたが日になるだろう。

今日から大学の授業が始まる。
先週は慌ただしい一週間を送った。
これからも慌ただしい毎日を送るのだろう。
しかし、このような慌ただしさは、
どのような組織でも起こっているのだろう。
社会情勢がこのような動き方を
強要しているのだろう。
あまりにも慌ただしすぎる。
もっとのんびりと進めたい。
慌ただしさの中では、
すべての仕事がやっつけ仕事になる。
もっと丁寧に進めたい仕事、
もっとじっくりと取り組みたい課題がある。
それもやっつけ仕事になっている気がする。
これの繰り返しが、現代社会なのだろうか。
不安要素と、脆弱さを
内在していきそうな気がする。

2011-04-08

●バックアップ:No. 3662 2011.04.08

桜の蕾。江別市文京台

今日は曇で、
時々小雨がふっている。
暖かいがどんよりした天気である。

昨日は一日整理していた。
今までのデータをDVDに
焼いてバックアップした。
DVDはあくまでも最低限の
バックアップのつもりだ。
本当のデータは
ハードディスクでのバックアップになる。
ただし、ハードディスクは破損したら
その中のデータは、全滅する。
また、間違った操作をすると、
やはりデータば簡単に破損する。
だから最終的な、防波堤は必要だ。
HDの整理は、まだ終っていない。
今日も続く。
授業の準備もし始めた。
午後からは、
新入生のオリエンテーションがあるので、
それに担任として参加する。

2011-04-07

●整理継続:No. 3661 2011.04.06

残雪。江別市文京台

今日はうっすらと雲がかかっている。
冷え込みもそれほどではない。
でも氷のはるほどの寒さはある。
昨日は一日整理をしていた。
あれもこれもしなければならないことがある。
それであっという間に一日が終わる。
昨日は久しぶりに大学の食堂で食べた。
長男のための中古自転車を購入して帰った。
久しぶりに自転車に乗ると
日頃使わない筋肉を使ったので
足が疲れた。
今日も一日整理の継続の日になりそうだ。

EarthEssay 5_90 6億年後:最初の星1

EarthEssay
5_90 6億年後:最初の星1
発行しました。

一番星とは、
夕暮れに最初に輝き出す星のことです。
私たちが見る一番星は、
空にもともとあり、
まわりが暗くなることで見えはじめる星のことです。
最初に見えただけで、
最初にできたものではありません。
しかし、「宇宙の一番星」は、
最初にできて輝いた星に与えられるものです。

2011-04-06

●整理:No. 3661 2011.04.06

木。江別市文京台

今日も快晴であった。
心地よい青空の中を歩いてきた。

昨日は新入生のためのガイダンスで
最初の顔合わせがあった。
これから彼らと4年間付き合うことになる。
その後会議。
少々会議が長引き、
家族で札幌に良く予定が少々遅れる。
久しぶりでの家族での札幌への外出だ。

今日から2日間、
いろいろな整理をして
仕事を始められるようにしなければならない。
やることがいろいろあり、
混乱している。

2011-04-04

●埋没中:No. 3659 2011.04.04

牧舎。江別市文京台

快晴の青空の中を歩いてきた。
心地良い寒さである。

愛媛から戻ってもう4日たった。
1日は、荷物が無事着いた。
それも朝一番に配達してくれたので、
時間を見て開梱した。
資料以外はすべて整理した。
パソコンもセットアップした。
研究室に残していた予備のパソコンも
これでお役御免となる。
また同様に予備のデジタルカメラ類も廃棄できる。
ただし、それは少々時間がかかる。

今日は午後から入学式である。
その前にカメラのCCDをクリーニングにだすため
Canonに寄るので早めに出ることにする。
だから午前中だけ仕事をすることになる。
日々の仕事に一気に埋没中。

●天空の峰:No. 3659 2011.04.04

東野圭吾著「天空の峰」
(ISBN4-06-263914-9 C0193)
を読んだ。
内容は現在の日本には
あまりに切実な内容である。
ヘリコプターを奪ってコンピュータ制御で
高速増殖炉の原子力発電所上空にホバリングする。
燃料が尽きれば
原子炉の上に墜落する。
犯人の要求は日本中の原子炉の停止である。
目的は国民が原子炉の危険性を
あまりに知らなすぎることへの警告であった。
現状に符合する事が多すぎる。

2011-04-01

Monolog 111 まろうど として

Monolog
111 まろうど として
を発行しました。

「まろうど」として、私は、
愛媛県西予市城川町で1年間すごしました。
そこでは、研究目標の達成を目指しながらも、
地域の人ととのかかわりを育んできました。
私が城川でなしたこと、
「まろうど」として果たしたこととは、
いったい何だったのでしょか。
1年を振り返りながら考えてみました。