2009-11-30

●早朝の活動:No. 3111 2009.11.30


並木。江別市文京台

今朝は雲が厚いが、冷え込んでいる。
いつものように自宅を出たら、
まだ暗い。

工事現場では6時から
もう仕事がはじまっている。
日が短い季節は、
朝早くはじめる現場がある。
そこでは、寒いなか重機が動き出している。
私だけが早朝に
動いているのではないことは分かっているが、
作業をしている人をみると
それを実感できる。

今日から卒業研究の個別面談にはいる。
校務の空き時間のすべてを
これに当てることになる。
そんな時期である。
12月上旬はこれにかかりきりになるのだろう。
いよいよ明日から師走である。

2009-11-29

●企業と大学の違い:No. 3110 2009.11.29


足跡。江別市文京台

今朝は冷え込んだ。
昨日からの雪が積もっています。
今までは一番積雪だろう。
でも、今日は天気がよさそうだから
昼間には溶けて行くのだろう。

今日は入試で大学に来ている。
昨日の今日の2日間行われる。
最近は入試もさまざまなものがあり、
受験生にとっては、チャンスが増えていいのだろう。
対応する教員は、そのチャンスの分だけ
準備をしなければならない。
企業でいれば、営業努力に相当するのだろう。
入学者人口が減っているのだから、
努力をするのは不可欠だろう。
しかし、大学間で過度の競争をしているのは、
大学の疲弊をしていくのではないだろうか。
本当にこれがいいのだろうかという疑問もある。
確かに、企業努力は必要だろう。
しかし、大学で本当に必要なのは、
大学の教育の質、そして
教員の質を高めるために研究環境を確保すること、
につきるのではないか。
いい教員が、いい学生を育てるのではないか。
これが通常の企業と大学の違いではないか。
そのための時間、精神的余裕が確保されないと
主客転倒するのではないかと思える。
これすらも甘えなのだろうか。

2009-11-27

●講演会:No. 3109 2009.11.27


霜。江別市文京台

今朝は冷え込んだ。
大地には白く霜が降りていた。
寒い気温の中を歩いてきた。

今朝はいつもより30分遅く起きた。
出てくると、昨日と比べて、明るさが全く違う。
起きる時間が少し違うと
見かける景色が変わる。
一日の時間の変化を驚きをもって
感じることができた。

昨日の午後、講演会があった。
有名な人がきた。
昨日は土曜日の講義なので
本来なら学生はほとんど大学にいないはずである。
私は校務もあったので、通常通りきていた。
大学のホールにいってみると満員であった。
ある学部の講義にも当てられていたせいもあった。
一般の人も入場できるようになってたせいもあった。
あまりの人数の多さに、
私は、ホールに入るのを遠慮した。
戻りかけたら、教員の方がきたので、
満員だと告げたら私とともに戻られた。
人数が少ないと演者に申し訳ないので、
来たのだということだ。
私もそういう意味もあったのでいったのだが。
学生たちが興味を持っているテーマ、
有名な人を呼べば、
多くの人数を集めることができることを示している。

●鉄学 137億年の宇宙誌:No. 3108 2009.11.27

宮本英昭ほか著「鉄学 137億年の宇宙誌」
(ISBN978-4-00-029561-1 C0344)
を読んだ。
鉄にかかわる歴史をまとめたものだ。
なかなか面白い視点である。
年代を現在から過去へとさかのぼる書き方である。
東大の博物館で展示として行われた内容である。
展示としては成立するシナリオだが、
書物としては成立しにくいものである。
なぜなら因果を逆に説明しなければならないからだ。
素直に時代順に書けば
それなりに面白い内容になったのにと思えた。

2009-11-26

●偏屈:No. 3107 2009.11.26



坂道。江別市文京台

今日は雲があるが、
東の空は雲が切れいてる。
ただし、今日はいつもり1時間ほど早く起きた。
そのままいつものように準備して自宅を出た。
大学に着くまで暗かった。
大学に着いたら、6時半であった。
早く着いたが、やることは同じである。

昨日学科の全学年の学生が集まり、
教育実習の事後報告会が開かれた。
多数の学生の熱気で部屋は暑かった。
非常にいい集会であった。
学生に聞いても、
よかったという感想が聞かれた。
教員は重要なそして熱意のいる職業である
という言い方が目立った。
確かにそのような視点で職業を捕らえるのはいいだろう。
しかし、教師だけがそのような職業だろうか。
すべての職業のそのような面があるであろう。
ただし、教師は、国を挙げての
組織的な職業訓練がなされているので
そのような色彩が強いのだろう。
少し気になったのは、
1年生から3年生までの教員を目指す学生はいいが、
それ以外の目標をもった学生は
どのように聞いただろうか。

熱意をもった人が強く発言すると、
その熱に同調していく反面、
私はどこか冷めてくるところがある。
それ以外の見方、
それ以外の人、
それ以外の意見などを
ついつい考えてしまう。
すると、そんなきれいごとでない面にも思い至る。
気持ち熱くなっても、
時間がたてば、だれもが冷めてくる。
そうなれば、同じような気分になるのだろう。
私は、年齢とともに、
その傾向が特に強くなってきたようだ。
多分私は、偏屈なのだろう。

EarthEssay 6_73 バージェス化石発見100周年

EarthEssay
6_73 バージェス化石発見100周年
を発行しました。

今年は、ダーウィン生誕200周年で祝われています。
地質学では、バージェス動物化石群の発見から100周年でもあります。
地質学で発見が取りざたされることはあまりないのですが、
ことバージェスに関しては、知っている人も多いようです。
その逸話は、調査シーズンの最後に、
夫人の乗る馬が足を滑らし石をひっくり返したところに、
ウォルコットが化石を見つけたというものでした。
実態は、どうも違っていたようです。

2009-11-25

●希薄な責任感:No. 3106 2009.11.25


夜明け前。江別市文京台

今日も快晴である。
放射冷却で朝は冷え込んだ。
いつもより15分ほど早く自宅を出た。
そのため、朝日が昇る前に大学についた。

今日の午後は、
教員実習の結果報告会がある。
参加する予定だが、
卒業論文提出のために
詰めの時期に重なっている。
私のゼミの学生も発表するのだが、
準備が間に合うか心配である。

夕方、会議がある。
校務だから専念しなければならないことである。
しかし、他のメンバーの出席率が悪いのが気になる。
私は出席したのだが、
これでこの組織は大丈夫なのだろうか
と心配になってくる。
選ばれた人の委員としての
責任感が希薄なのはどうしたのもだろうか。
組織への帰属意識、
組織への信頼感、
組織への忠誠心など、
組織として持っているべきものが
欠如しはじめいているのかもしれない。
非常に心配である。
杞憂であればいいのだが。

2009-11-24

●データ処理:No. 3105 2009.11.24


霜と落ち葉。江別市文京台

今日は快晴である。
放射冷却で朝は冷え込んだ。
歩いているときに朝日が昇りだした。
久しぶり晴れてきた。

休日は予定どおりいかず、
なかなか思ったようにいかなかった。
家内が風邪を引いた。
耳の下はれたきたので、
おたふく風邪ではないと思い、病院にいった。
おたふく風邪はいぜんやっていたので、
耳下腺炎だそうである。
おたふく風邪も耳下腺炎の一部だそうだが、
風邪によって耳下腺が炎症が起こしたようだ。
家内の風邪のせいか、長男も風邪気味になった。
そのため、予定がすべて変更になった。
まあ、そんな時もあるであろう。
おかげで、私は、自宅で、
懸案であった大量のデータの処理を行うことができた。
このデータ処理は、まだまだ終わりそうもないが、
やりはじめるとそれなりに、やる気になる。
そんなメリットがある。

●かくして冥王星は降格された:No. 3104 2009.11.24

N.D.タイソン著「かくして冥王星は降格された」
(ISBN978-4-15-209064-5 C0044)
を読んだ。
冥王星を惑星から降格されるまでの
アメリカ合衆国の騒動が書かれている。
アメリカ人は、冥王星に強い親近感をもっている。
それが騒動を大きくした。
著者は、博物館の展示を責任担当した人物である。
冥王星を惑星とせず、
カイパーベルトの一員と位置づけて
展示をおこなった。
1年後に、それがニューヨークタイムズに記事となり、
大騒動となった。
アメリカ人の冥王星好きとあいまって、
騒動の中心人物なった。
その中心人物が多数の公開されたコメント、
彼へのメール、手紙などを中心にまとめた本である。
なかなかおもしろかった。

2009-11-21

●連休の過ごし方:No. 3103 2009.11.21

今日は寒い日である。
自宅で過ごしている。

今日は家内を医者に送り迎えをして、
その後、カラオケに行く予定である。
最近長男がカラオケに行きたいというので、
息抜きに久しぶりに行く予定である。
その後は、子供たちが散髪に行く予定である。
明日は札幌に出かけなければならない。
月曜日は自宅でじっとしている予定である。
まあ、予定ばかりであるが、
そんな連休を過ごすつもりである。

●夢の守り人:No. 3102 2009.11.21

上橋菜穂子著「夢の守り人」
(ISBN978-4-10-130274-4 C0193)
を読んだ。
シリーズ3作目である。
今度は舞台が最初の王国へと移す。
重要な脇役の過去が題材になっている。
面白く読んだ。

●弧峰の蝶 西海古譚:No. 3101 2009.11.21

西山忠男著「弧峰の蝶 西海古譚」
(ISBN4-8355-7784-1 C0093)
を読んだ。
著者は地質学者である。
この本を読んだのは、
このモデルとなった人が
有名な地質学者であると聞いたからだ。
しかし、その意味はわからなかった。
そのような前提をぬいて、
この本を考えるも、
なかなか面白かった。
話が同じ峰を舞台にした、
古代から現代まで入れ子になった話である。

2009-11-20

●大詰め2:No. 3100 2009.11.20


雪と落ち葉。江別市文京台

今朝起きたら、
道路が雪で真っ白になっていた。
冬靴をだして、今日から履きだした。
真っ白な真新しくできた道を
足跡をつけながら歩いてきた。
いよいよ冬である。

いよいよ卒業研究が
大詰めになってきた。
来週から3週間、
4年生との個別指導が続く。
時間をとられることも大変だが、
学生が、どの程度、この期間に
最大限の高みを目指し、
そこに向かって努力を続けるのか。
それに対して、どれほどサポートできるのか。
私にとっては、そこが一番重要である。
学生にとっては、大学生活において、
最後で最大の努力を
注ぎ込むべきテーマで、時期である。
それをこなせるかどうか。
今後の人生を、どう生きるかの、
目安になるような気がする。

2009-11-19

●大詰め:No. 3099 2009.11.19


雪と落ち葉。江別市文京台

今朝は曇りで、寒い日であった。
昨日は激しい雪かと思えば、
晴れ間が見えるという
変わりやすい天気であった。
今日はその名残の雪が
草の上には残っていた。

いよいよ卒業研究の大詰めとなってきた。
学生たちも苦悩しているはずだ。
しかし、締め切りのあるものは、
厳守しなければならない。
それを守らなければ、
卒業できなくなるのだ。
私の卒業研究も同じように大変だった。
自分の興味あることをやっている
という気持ちがあり楽しさもあった。
しかし、今の学生はそのような気持ちに
なっていないのだろうか。
この1年間の集大成としての卒業研究になる。
もし教員になれば、
自分の専門として教科、テーマとなるものである。
自信を持てるものにして欲しいものだ。

EarthEssay 1_85 年代の意味:最古の岩石4

EarthEssay
1_85 年代の意味:最古の岩石4
を発行しました。

長くなりましたが、いよいよSm-Nd法による年代測定の話になります。
年代は、一応得られています。
しかし、重要なことは、
その年代が何を意味するかを解明することです。
その年代の意味と、他の化学成分から導かれる話が、
一致しなければなりません。
しかし、それがなかなか難しいのです。

2009-11-18

●流星:No. 3098 2009.11.18


霜と落ち葉。江別市文京台

今朝は晴れで、放射冷却で冷え込んだ。
いつもより30分ほど早い時間帯にでてきた。

明ける前の薄明るい空に
流星が流れた。
天体現象であるが、
それを幾人の人が見ていただろう。
この時間帯に、その方向の空を
見ていなければみれないものだ。
非常に少ない人にしか
見るチャンスがないであろう。
不思議な気持ちになった。

昨日間違って消してしまった大量の画像が、
何とか復活できた。
もともと1200枚以上あった画像を、
300枚程度にしたものだ。
なくなったらせっかくの学芸会の記録が
なくなっていたところだ。
復活できてほっとしている。

2009-11-17

●画像消失:No. 3097 2009.11.17


つぼみ。江別市文京台

明け方まで降っていた雨が上がって、
朝から快晴になった。
冷え込みが始まった。

大学で持ち歩いているハードディスクから
データを移動させようとしたら、
間違えて消してしまった。
学芸会の画像が全滅した。
現在復旧中であるが、
うまくいくかどうかわからない。
もしだめであったら、
カメラのデータの復元を試みるしかない。
なかなかめんどうな事態となった。
デジタルはこれが恐ろしい。

2009-11-16

●激しい雨:No. 3096 2009.11.16

今日は激しく雨が降っている。
すっかり日が短くなって、
自宅を出る頃も
やっと夜が明けてようするほどの
薄暗らさである。

自宅で仕事をすることにした。
子供たちは、昨日の学芸会の
振り替え休日で自宅にいることになる。
家内は午後から打ち合わせて出かける。
なので子供たちと、
午後は映画でも見ようかといっていた。
午前中大学にでて、
昼前に帰宅する予定であった。
しかし、激しい雨なので
自宅で仕事をすることにした。
実は自宅では子供たちが起きてくると
なかなかはかどらないのだが。

●闇の守り人:No. 3095 2009.11.16

上橋菜穂子著「闇の守り人」
(ISBN978-4-19-130273-7 C0193)
を読んだ。
シリーズの3作目である。
今回の主人公のふるさとでのストーリである。
地底の人、今は亡き恩師、恩師の親族を巡る
展開となっている。
シリーズの文庫本を一気に購入したので、
気兼ねなく読める。
若い頃のように心躍るワクワク感はないが、
面白くはある。

2009-11-15

59 三笠山:複雑さと誤謬

 9月下旬に、奈良を訪ねました。そのときに垣間見た若草山から、奈良盆地の火山に思いを馳せました。思いは、奈良時代から地質時代へと巡ります。そして、出回っている説には、いろいろ誤謬があることに気づきました。誤謬の原因は、一つには複雑な来歴に由来するものです。複雑の生む誤謬が生んだ、誤謬を見ていきます。

 春のゴールデンウィークに対して、今年の秋の長い連休をシルバーウィークというようになりました。しかし、連続するのは今年だけで、ゴールデンウィークのように毎年連休になるわけではありませんが。大連休だったので、家族で久しぶりに里帰りをすることにしました。多分どこでも人で一杯だろうし、交通料金もかかるので、一番安上がりな里帰りを選びました。これなら交通費だけですみます。滞在費、宿泊費は、実家にお世話になります。
 5日間いたのですが、そのうち1日を、奈良に出かけることにしました。子どもを2人と私の3人旅となりました。家内はぎっくり腰で、実家で寝ていました。
 私たちは、奈良の大仏を見ることをメインにしていました。そして次男は、野生の鹿を見ることも楽しみにしていました。
 北海道にいると、よく野生動物を見かけることがります。それは、完全な野生で、人間には馴れてないのが普通です。ところが、奈良の野生の鹿は、人に馴れています。子どもたちは、間近にみることのできる野生動物のものめずらしさ、力強さ、生物としての知恵など、いろいろ感じることができたようです。帰っても興奮して鹿の話をしていました。
 私は、奈良の東大寺周辺には何度かいったことがありました。最後に来たのは、学生時代だと思います。学生時代、帰省するとたびに、京都や奈良の名所旧跡をめぐるようになりました。故郷をはなれて、北海道に住むと、自然の豊かさを味わうことができますが、人間が作り上げてきた文化の歴史が浅く感じるようになります。そのような欲求を満たすためだったのでしょう。
 道筋までは覚えていることはありませんが、名所にくると、「ああ、ここには来たことがある」という思い出がよみがえりました。そんなところを回ることになりました。
 奈良の若草山というと思い出すのが、
  天の原 ふりさけ見れば 春日なる
  三笠の山に 出でし月かも
という阿倍仲麻呂の歌です。子どもたちは学校で百人一首をしているので、この歌を知っています。ここで歌われている三笠山が、東大寺の裏にある若草山のことだと、子どもたちに教えていました。若草山が、3つ重なっているように山頂が見えるため三笠山と呼ばれていたのは知っていました。ちょっと知識のあることを見せていました。ところが、調べてみると、間違っていたことがわかりました。
 若草山が、以前三笠山と呼ばれていたのは、正しかったのです。しかし、歌で詠まれている「三笠の山」は、若草山のことではなかったのです。南側にある春日大社の裏にある「御蓋山(みかさやま)」のことでした。案内書によっては、「御蓋山」の後ろにある春日山が、阿倍仲麻呂に歌われた山だといっているものがあるようですが、それは間違いです。春日山の前にある「御蓋山」が「三笠の山」だったのです。複雑です。
 この若草山ですが、本によっては昔の火山と書いてあるものがあります。でも、本当は火山本体ではありません。そもそも火山とは、火山噴火で形成された山のことですから、そのいう定義でいうと、若草山は火山になりません。
 ただ、若草山も御蓋山も、安山岩と呼ばれる溶岩からできています。その溶岩は、10数メートルほどの厚さしかなく、マグマを噴出した火山本体は、もはやは不明となっています。若草山も御蓋山も、山自体が火山ではなく、火山岩からできているにすぎません。ですから、若草山は火山ではないのです。複雑です。
 では、なぜ山になっているのでしょうか。それは、奈良盆地と東の笠置(かさぎ)山地を区切る断層(市ノ井断層と呼ばれています)があり、東側が持ち上げられたためです。
 断層によって、両側は全く違った地質となっています。断層の東側は、春日山も含めて花崗片麻岩からできています。花崗片麻岩は硬い岩石で、浸食されにくくなっています。ですから、山として残りました。一方、断層の西側は、西に傾いた地層が連なっています。もともと水平にたまった地層ですが、断層で東側が持ち上げられたたために、西に傾いてしまいました。
 地層の多くは、堆積岩や凝灰岩からできていて、その中に安山岩の溶岩があります。若草山の溶岩ももともとは水平にたまったものでした。この溶岩は、緻密で固い安山岩でした。そのために、周囲の堆積岩が長年浸食を受け、硬い溶岩の部分が若草山、御蓋山として残り、山となったのです。複雑です。
 若草山も御蓋山も、1300万年前に噴出した三笠安山岩と呼ばれる真っ黒な火山岩からできます。火山体はなくなっていますが、溶岩があるので、近くで火山活動があったことは確かです。
 奈良盆地には、昔の火山が点在しています。室生(むろう)、二上山、耳成山、畝傍(うねび)山、宝山寺、信貴(しぎ)山などは、火山です。考えてみると、点在する火山が、奈良盆地の真ん中にあるのは不思議な感じがします。なぜなら、周囲には活火山がまったくないからです。つまり火山帯ではないのです。なのに火山が点在するのです。不思議です。
 九州から、瀬戸内海を通って、奈良盆地、愛知県まで、点々とですが、断続的に同じような古い火山があります。これらを「瀬戸内火山帯」と呼んでいます。活動時代には幅がありますが、年代の分かっている火山の多くは、1600万から1100万年前にかけて活動したものです。
 瀬戸内火山帯の火山岩の多くは、安山岩マグマの活動できました。ところが、この安山岩は、少々不思議な特徴があります。一般の安山岩は、珪酸(SiO2)が多く、酸化マグネシウム(MgO)が少なくなっています。一方、瀬戸内火山帯の安山岩は、珪酸も多いのですが、その珪酸量に比べて、酸化マグネシウムがかなり多すぎるのです。まるで玄武岩のような量から、もっと多くの酸化マグネシウムを含むという特徴をもっています。
 このような安山岩を、「高マグネシアン安山岩」、あるいは「サヌカイト(sanukite)」と呼んでいます。この不思議な岩石が、讃岐(さぬき)地方でみつかったので、讃岐岩(いまではあまり使われていません)、英名をサヌカイトと呼ぶようになりました。
 瀬戸内火山帯は、かつての火山帯であったと考えられています。この火山地帯は、もともと複雑で特異なところでした。つまり、単純な成因では説明できず、複雑な成因を考えなければならないのです。
 沈み込む海洋地殻とそれに引きずり込まれた堆積物が溶けて、マグマが形成されます。そのマグマがマントルのカンラン岩と反応して、酸化マグネシウムの多いマグマができたと考えられています。しかし、この説も、まだ完全な成因解明にはいたってないようです。複雑なのです。
 若草山は、その起源も複雑、来歴も複雑、歴史も複雑です。そんな複雑さが重なり合うことによって、さまざまな誤謬が生じました。誤謬を生むほどの複雑さは、不思議さや神秘性をも生むのでしょうか。
 神秘性をも生んだ例として、奈良盆地の南に大和三山があります。畝傍山、耳成山、香久山の三山です。大和三山は、古くから歌にも詠まれてきました。
  春すぎて 夏来にけらし 白妙の
  衣ほすてふ 天の香具山
大和三山のそれぞれが、正三角形の頂点をなしています。畝傍山と耳成山は上でも述べましたが、古い火山です。しかし、香具山は、花崗岩からできています。この関係は、若草山、御蓋山、春日山の関係に似ています。偶然ですが、少々不思議な気がしました。
 昔の人がいろいろな思いを巡らした地は、人に神秘な心持を沸かせます。たんなる偶然にも、神秘性を感じてしまいます。

・カンカン石・
サヌカイトは、黒く緻密なので、
たたくとカンカンといい音がします。
香川県では、土産物として売られています。
このような石を、通称、カンカン石と呼んでいます。
香川県だけのものとされている表記もあるのですが、
上で述べたように同じような性質の岩石は
結構広く分布しています。
いずれも岩石としては、同じような性質をもっているはずです。
ですから、たたけばいい音がすると思います。
ただし、私は試したことがありませんが。

・改名・
三笠山に因んで天皇家である三笠宮ができました。
そのとき、同じ名前では恐れ多いとして
三笠山を若草山に改称したそうです。
山名に因んでいるわけですから
本当はありがたいことと喜びべきことで、
山名を残すべきだと思います。
今思うと少々奇異な感じがします。
1935年に山名が改名されたのですが、
時代は戦前の天皇制のころですから、
仕方のないことなのでしょうかね。

・巡る季節・
今回の里帰りでは
いくつかの親戚のお墓参りをすることにもしていました。
子どもたちは、従兄弟たちと久しぶりに会うので、
顔も知らない同士のような、緊張をしていました。
しかし、しばらく遊んでいると、
わいわいと騒がしく遊んでいました。
そんな賑わいとともに、
残暑の暑さの奈良を思い出しながら、
このエッセイを書きました。
ところが、今は11月。
北海道は初冬です。
つい最近のつもりだったのですが、
もう季節が2つも過ぎたのですね。

GeoEssay 59 三笠山:複雑さと誤謬

GeoEssay
59 三笠山:複雑さと誤謬
を発行しました。

9月下旬に、奈良を訪ねました。
そのときに垣間見た若草山から、
奈良盆地の火山に思いを馳せました。
思いは、奈良時代から地質時代へと巡ります。
そして、出回っている説には、
いろいろ誤謬があることに気づきました。
誤謬の原因は、一つには複雑な来歴に由来するものです。
複雑の生む誤謬が生んだ、誤謬を見ていきます。

2009-11-13

●学芸会:No. 3094 2009.11.13


つぼみ。江別市文京台

今朝は薄曇である。
小雪がちらついてた。
冷え込んだ朝だ。

昨日は余市まで出張した。
教育実習の研究授業への出席である。
いい経験をしている。
そしていい授業をしている。
何といっても子どもたちが
授業にのめりこみ、楽しんでいる。
そして以前なかったような
振る舞いができるようになってきた。
これは、すばらしい成果であり、
重要な経験である。
対応されている教員が
非常に大切に指導されているからだろう。

今週末は小学校の学芸会である。
延期されたせいで
残念ながら母を呼ぶことができないかったが、
やっと学芸会である。
長男にとって最後の学芸会となる。
6年間長かったのだが、
思い返すとあっという間の気がする。
まあ、まだ次男が3年間残っているので、
楽しみが残っているとともに
気も抜けないが。

●レッドゾーン:No. 3093 2009.11.13

真山仁著「レッドゾーン」
(上:ISBN978-4-06-215433-8 C0093
下:ISBN978-4-06-215434-5 C0093)
を読んだ。
中国の国家ファンドが
日本の巨大な自動車産業を買収するという
ストーリである。
なかなか面白い。
このシリーズはまだ続くようだ。
ただし、いくつかの話が並行するのだが、
そのうちの重要な話が中途半端に終わっている。
月刊誌で続けているから
そのようなことが起こるのか。
よく分からないが残念である。
それと最初の話の落ちが
もう少し納得がいくような形であれば
などなどいろいろ不満が残るが、
全体としては、面白いものである。

2009-11-11

●明日は出張:No. 3092 2009.11.11


雪。江別市文京台

朝起きたら、道路が濡れていたので、
雨のつもりで、傘を差して自宅を出たら、
草むらに雪が積もっていた。
雪である。
よく見ると雨では雪からミゾレであった。
雪はもう何度か降っていたが、
はじめて、雪の中を歩いてきた。
ここ数日寒くなってきたので、
冬用のジャンバーにした。
いよいよ冬だ。

明日は出かけるので、休講になる。
授業を休むのは気が引ける。
たとえ校務であっても、
多くの学生に迷惑をかける。
それ以上に、授業をしなければならない
というプレッシャーがある。
それは、学生からというより、
大学や文科省の暗黙のプレッシャーが
背景にあるからだろうか。
講義を全うするというのは、
教員として大切なことだが、
そこに自発性がないことが気になるところである。
良心の問題として、考えればいいのだが。
まあ、明日は出張である。

2009-11-10

●いい先生:No. 3091 2009.11.10


落ち葉。江別市文京台

小雨が降る雨の中を歩いてきた。
昨日は、それほど寒くなかったが、
今日は湿度が高く、風があったため
体感温度が低くなっている。

木曜日に教育実習生の
研究授業にでかける。
後期はその一人だけである。
講義を休講にして出かけることになる。
4年生だが、教員採用試験の結果が
でたあとでの教育実習である。
モチベーションをたかめるのが大変であるが、
人生を過ごすには重要な試練と考えるべきだ。
頭を切り替える必要がある。
現状では、教師採用試験で
現役合格はなかなか難しい。
何年か非常勤や臨時任用の教員をしながら、
教員の道を目指す人が多い。
うちの学科の学生の多くはそうなっている。
そんな心持で望むことが必要なのだろう。
皆、夢の途上である。
そして教員採用に受かった学生も、
夢の途上である。
彼らの本当の夢とは、
単に教員採用試験に受けて先生になることではなく、
いい先生、自分の理想の先生になるはずだから。

2009-11-09

●クリーニング:No. 3090 2009.11.09


霧のハルニレ。江別市文京台

明け方まで雨が降っていた。
朝、自宅を出るころにも
霧がかかっていた。
暖かい日である。

今日はカメラのCCDを
クリーニングしてもたうために
札幌駅前のCANONのサービスセンターにいく。
その場でできないために、
再度札幌に出なければならない。
そして休日がやっていないので、
平日にいかなくてはならない。
なかなか面倒な精度だ。
大名商売のような気がする。

疲れがだいぶ抜けたが、
昨日午後あたりから偏頭痛が時々する。
風邪の症状だとうか。
しかし、体調自体はそれほど悪くない。
今日は札幌にでるので、
はやめに帰って体調を整えよう。

2009-11-08

●のんびりとした休日:No. 3089 2009.11.08

夜中に雨が降ったようだ。
道路がぬれている。
しかし、明け方には雨が上がり、
太陽が青空に昇ってきた。
昨夜から今日にかけて暖かい。
冬用の布団が暑いくらいであった。

昨日は午前中、子供たちがいないので、
落ち着いて仕事ができた。
今日は、買い物に付き合う予定だ。
長男の冬靴を買わなくてはならないそうだ。
もしかするとその前後に
プールに出かけるかもしれない。
私は散発と撮影に出かけたいのだが、
子供たちの希望と、私の体調と気分しだいだが。
まあのんびりとした休日というべきか。

2009-11-07

●分散:No. 3088 2009.11.07


モミジ。江別市文京台

昨日に続き、今日も快晴である。
今日は一日自宅にいることにする。
子供たちは、小学校の行事で、学校にいっている。
家内も同行している。
私は、一人で留守番である。

B-moboleでインターネットを自宅で接続して試した。
やはり遅い。
だから、画像の多いところや、
複雑な仕掛けをしているところは
実用上使えない。
これは、少々考え物である。
4月から1年の四国での研究条件としては、
インターネットは不可欠である。
しかし、早い環境が必要かどうかは、
よく考えなければならない。
なによりも雑音のない環境が一番重要である。
それを重視して選択したい。
だから、執務室を目的に応じて
使い分けなければならないかもしれない。
執務室が分散すると
少々面倒になるかもしれないが
仕方がないことかもしれない。
まだまだ検討中である。

●精霊の守り人:No. 3087 2009.11.07

上橋菜穂子著「精霊の守り人」
(ISBN978-4-10-130272-0 C0193)
を読んだ。
ファンタジー小説である。
久しぶりにこのような小説を読む気がする。
ファンタジーはそのかもし出す世界に
自分がなじめるかどうかが
一番の焦点となる。
そこに魅力を感じれば、
それは自分好みのものとなる。
これは、なかなか面白い。
そして次も読んでみたいと思っている。
しかし、ぐいぐい引き込まれるまでには
いたっていない。
読み続ければ入り込めるかもしれない。

2009-11-06

●検討中:No. 3086 2009.11.06


モミジ。江別市文京台

今日は、快晴である。
放射冷却で冷え込みが強い。
霜がおりて、草むらが白くなっている。
そろそろ秋も終わりだろうか。

今週は月曜日を休み火曜日が祝日だったので、
3日しか大学にでていないことになる。
しかし、疲れが大きい。
母を連れて出歩いたためだろうか。
それとも運動不足だろうか。
単に年齢のせいだろうか。
まあ、風邪もはやっていることだから
週末は体を休めよう。

来年の四国での1年間の滞在する。
その準備を少しずつしている。
現在の研究では、
インターネット接続が不可欠なのだが、
予定の博物館は電話線がなく、
一番近くの役場の施設はISDNしかない。
そこでケーブルテレビでインターネットができる
隣の町の施設があるのでそこを予定していた。
車で30分ほどの通勤となる。
博物館からの遠さが難点であった。
しかし、調べたところ、
PHSの通信網を使った仕組みがあることを知った。
B-mobileというものである。
近い役場でもB-mobileが利用できる。
そのスピードは128Kbpsである。
いつも使っているのは光通信なので100Mbpsである。
1000倍近い差がある。
さらに現在使っているパソコンで設定できるかどうか、
実用上のスピードがどうかを確かめたいと考えていた。
そこで、今後使うかもしれないので、
B-mobileを購入してみた。
設定は手間取ったができて、
現在の大学で使っている2つのパソコンで
使えることが実証できた。
だた、遅い。
画像を多用するようなページ、
大きなデータ、多くのデータの転送には適さない。
そこで滞在場所に迷いが出た。
まあ、選択肢があるのはいいのかもしれない。
現在検討中である。

2009-11-05

test

デスクトップでの接続実験です。
うまく繋がりました。
しかし、遅く感じます。

test

携帯からの通人を実験しています。
スピードはそれほど速くありません。

●特別な時間:No. 3085 2009.11.05


イチョウ。江別市文京台

今日は、曇りで小雨がパラツク天気である。
寒さも先日より少し和らぎ、
過ごしやすい天気となった。

母が昨日帰ったが、
空港から長時間かかって帰ったようだ。
聞くと、空港で1時間待たされ、
途中で乗り継ぎでさらに時間がかかったようだ。
2時過ぎに関西空港についたのだが、
自宅に帰りついたのが、6時過ぎだ。
老体なのに、なかなか大変な思いをさせた。
でも、空港の出口から
自宅の裏口までタクシーで届けてくれるので、
なかなか便利な仕組みなのだ。
しかし、これほど時間がかかると、大変だ。
自分で電車を使って帰れば、
もっと早く帰っていけるのにと思うが、
高齢のため、なかなか大変だ。

週末から連休にかけて母を連れて
あちこち出かけていたので、少々疲れた。
もちろん母は私以上に疲れていただろうが、
たまにしかあえないので、
濃密な時間を過ごしたいがために、
いろいろ詰め込んでしまう。
まあ特別な時間だから、しょうがない。
疲れを癒しながら、
離れ離れの家族の時間を
思い出しながら味わおうか。

ハゲタカ II

●ハゲタカ II:No. 3084 2009.11.05

真山仁著「ハゲタカ II」
(上:ISBN978-4-06-275687-7 C0193
下:ISBN978-4-06-275689-1 C0193)
を読んだ。
企業買収の外資ファンドのハゲタカが
主人公の小説である。
前作の後の話である。
外資ファンドでありながら、
日本のサムライ魂をもった外国人、
外資の日本人が出てくる。
それに対するは買収される日本の老舗が
日本の心を忘れてしまっている。
そんな倒錯しら世界が描かれている。
なかなか面白い話であった。

EarthEssay 1_83 困難を克服して:最古の岩石2

EarthEssay
1_83 困難を克服して:最古の岩石2
を発行しました。

地球最古の岩石の発見を紹介しているのですが、
今回は、測定に必要な条件について見ていきます。
その条件をクリアしたものだけが、
年代測定できるわけです。
でも、その条件をクリアするのが、
実はなかなか大変なのですが。

2009-11-04

●ままならないもの:No. 3083 2009.11.04


日和山と大湯沼。登別市

今日は、曇りの寒い日である。
飛び石連休は雪であった。
幸い、夜に降った雪は、
日が昇るとともに、とけていった。
遠出をするために、
日曜日に急遽、冬タイヤに交換した。
そのため、雪への心配はなくなった。

母が今日帰る。
一週間ほど滞在したが、
学芸会を見ることなく、
帰ることになったが、
温泉に何度も連れていった。
足の痛みは少しはよくなっただろうか。
帰る時となると、
もっと親孝行をしておけば
よかったと思ってしまう。
離れて暮らす家族の宿命か。
同居していれば嫌なことも多いだろうが、
離れて暮らすと
喪失感、欠如感がたまらない。
ままならないものだ。
健康と長生きを願うしかない。

2009-11-01

Monolog 94 帰化生物:タイムスケールの違い

Monolog
94 帰化生物:タイムスケールの違い
を発行しました。

タイムスケールが変わると、見え方も違ってきます。
タイムスケールは非常に重要な視点です。
その視点を、科学者すら忘れてしまいます。
ついつい自分の分野の固有の時間で、
自然を見て、判断し、結論を出してしまいます。
その結論が、その分野だけに閉じているなら問題はありません。
しかし、その結論が社会問題へ関与するとなると、
科学的な判断として重要性を持つことになります。
そんな例を紹介しながら、
タイムスケールの多様さを考えていきましょう。