2015-09-19

●神父と頭蓋骨:No. 5411 2015.09.19

アミール・D・アクゼル著「神父と頭蓋骨
北京原人を発見した「異端者」と進化論の発展」
(ISBN978--15-209139-0 C0040)
を読んだ。
ノンフィクションの名手アクゼルの作品だから
はずれはない。
今までだれも重要視してこなかったテーマを
綿密な調査と取材で書いたものだ。
北京原人の発見者の一人であり
優秀な人類学者でありながら、
神父でもあった
ピエーリ・テイヤール・ド・シャルダンの
伝記的内容でもある。
宗教と進化論の狭間にいて人物で
本人の思索の中では
宗教と進化が共存でき理論化されていた。
それがキリスト教社会では異端とされ
常に流刑状態にされた。
しかし、死後の出版により
宗教的名声も得られるが
キリスト教社会ではまだタブー視されている。
科学的評価、名声を得ながらも
決して望む人生とはいえない。
しかし、不遇でありながら
科学的名声を得ていくことにもなる。
不思議なめぐり合わせである。
グールドの視点ではないシャルダンの評伝であった。
ところで北京原人の化石は
いったいどこにあるのだろうか。
中国に埋もれいるのだろうか。
日本の某所に隠匿されているのか。
アメリカのある人物がもっているか。
秘密はいつか明かされるのか。
永遠に謎のままなのか。
面白い本であった。